2023.07.27
空き家の今とこれからの対策
1.増加を続ける空き家
総務省統計局では5年ごとに全国の住宅や土地についての統計・調査をまとめ、「住宅・土地統計調査」として発表しています。
最新の調査である「平成30年住宅・土地統計調査」では、前回の調査(平成25年)と比較して3.6%の増加をして848万9千戸、空き家率は13.6%と過去最高を記録しました。
空き家の内訳をみると「賃貸用の住宅」が 432 万7千戸(総住宅数に占める割合 6.9%)
「売却用の住宅」が 29 万3千戸(同 0.5%)
別荘などの「二次的住宅」が 38万1千戸(同 0.6%)
「その他の住宅」が 348 万7千戸(同 5.6%)となっています。
空き家の内訳について、2013 年と比べると
「賃貸用の住宅」が3万5千戸(0.8%)増
「売却用の住宅」が1万5千戸(4.9%)減
「二次的住宅」が3万1千戸(7.5%)減
「その他の住宅」が 30 万4千戸(9.5%)増
となっています。
<空き家率の高い都道府県ランキング>
1位:山梨県(21.3%)
2位:和歌山県(20.3%)
3位:長野県(19.5%)
4位:徳島県(19.4%)
5位:高知県(18.9%)
6位:鹿児島県(18.9%)
7位:愛媛県(18.1%)
8位:香川県(18.0%)
9位:山口県(17.6%)
10位:栃木県(17.4%)
①空き家対策措置法とは
空き家は地方の過疎地だけでなく、東京23区内でも増えています。空き家も一時的であったり、きちんと管理されていれば問題はないのですが、管理されていない空き家は
地域住民に深刻な影響を及ぼしています。老朽化による倒壊、外壁や屋根材の飛散、ゴミの放置、景観の悪化などです。
特に台風などでは、これらによる被害が増えることになります。
そこで、政府は適切な管理が行われていない空き家から地域住民の生活を保護し環境を保全するとともに、空き家の活用を促進させる為に「空き家対策措置法」を制定しました。
②空き家対策措置法の3つのポイント
この法律では、各自治体の判断により「特定空き家」が指定されることになります。
(イ)特定空き家に指定されると固定資産税が高くなります。固定資産税が最大で6倍になります。年間10万円の固定資産税だったのが60万円になるのです。
(ロ)空き家所有者に対して行政からの勧告や命令があります。所有者へ自治体から改善するように助言と指導が行われます。それを無視し放置すると勧告・命令が出されます。
(ハ)最終手段として行政代執行により、所有者に代わって解体されてしまいます。命令を放置すると行政代執行として自治体が空き家の解体を行えるようになるのです。
解体費用は、当然所有者に請求されます。
③特定空き家の4つの条件
法律では、空き家とは「居住その他の使用がなされていない状態である建築物とその敷地」となっています。なお、運用上においては、概ね「年間を通じて使用されていない」
ということになっています。なかでも、周辺への影響が大きい空き家を「特定空き家等」と定義しています。「特定空き家」は、各自治体が指定することになっています。
●放置すれば倒壊など著しく保安上危険となるおそれのある状態
●放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
●適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
●周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
④特定空き家に指定されないために
まずは定期的に適切な管理を行うことです。「売却するのだから」といって放置していては、特定空き家に指定されてしまう可能性があります。
そうならないためには、不動産業者や知人に依頼して定期的に見守ってもらうことが必要です。
劣化を防ぎ、特定空き家に指定されない最も良い方法は、空き家の有効活用です。
リフォーム・リノベーションをして賃貸に出したり、民泊やシェアハウスとしての利用など地域特性を考えて有効活用を考えましょう。
なお、国土交通省では、「民間賃貸住宅を活用した住宅セーフティーネット事業」など、空き家対策としてさまざまな事業を行っています。
遠隔地の空き家を多忙なので管理ができない、加えて有効利用も難しい場合は売却を検討しましょう。放置しても固定資産税や管理費がかかるだけです。
土地によっては資産価値も下がります。その前に売却する方が得な場合も多いのです。家に思い出があり、なかなか思い切れない場合もあるかもしれませんが
残しても結局お金がかかるだけです。
空き家は、持ち主が亡くなることで発生するケースが多いものです。親が住んでいた家を相続したが、他に生活基盤があるため住むことはない。
そのような場合は、すばやく対処すると譲渡所得税の特別控除の特例が受けられる場合があります。なお、その条件は、次の4つになります。
●昭和56年以前に建てられた家
●住んでいた人が死亡したことで居住者がいなくなった家
●相続してから3年以内で、特例の適用期間2023年12月31日までに売却
●売却に際しては、耐震リフォームするか、もしくは解体して更地であること
空き家賃貸の基本をおさえる~空き家賃貸のメリット・デメリット・その手順とは~
①家賃収入が得られる
放置していては固定資産税や管理費などの経費がかかる一方ですが、人に貸すことによって家賃を得られるようになります。
②管理が不用になる
空き家の放置には衛生上や建物管理上、さらには近隣トラブルなどの様々なリスクがありますので、どうしても「定期的な清掃」「草むしり」「害虫駆除」などの管理が必要になってきます。しかし、住んでくれる人がいれば、その人が物件の基本的な管理を行ってくれるようになります。
③資産として残すことができる
賃貸として貸し出すことに成功すれば、空き家を有効に活用するだけではなく、その物件は資産として手元に残ることになります。
④防犯対策になる
空き家を放置し続けると、浮浪者やホームレスに住みつかれるようなことになったり、場合によっては放火されるリスクも発生します。空き巣被害の可能性もあるでしょう。しかし、人に住んでもらうことによって、このようなリスクを無くすことができます。
⑤建物の寿命が延びる
住む人がいなくなり、風通しが無くなってしまうと、湿気が溜まることによって、カビが発生したり住宅が腐朽しやすくなります。しかし、人が住んでいれば、玄関の開け閉めによって住居内に風が入り込みますし、窓を開けることも多くなります。
空き家賃貸のデメリットとしては、果たしてデメリットと言って良いのか分からない、言ってしまえば「当たり前」のことなのですが、次の2つがあります。
①リフォームが必要
空き家を長期間放置している場合は、建物が壊れていたり、ボロボロになっていたりします。人に貸す際は、当然このような点をリフォームしなければなりません。
②入居者トラブルが発生する可能性がある
賃借人が家賃を払わなかったり、または騒音やゴミ出しなどの問題で、周囲の住民に迷惑をかけてしまう場合もあります。
①不動産会社に査定をしてもらう
まずは、不動産会社に物件査定を行ってもらい、物件の価値を確認するのが一般的です。不動産の価格を出してもらい、同時にいくらで貸出すことができるのかを相談するのです。なお、その際には、できるだけ不動産の価値を高めるためにも、物件をきれいにしたり、破損している部分をあらかじめ直したりしておくのが良いでしょう。
②必要なものを準備する
依頼をする不動産会社が決まったら、その不動産会社に協力してもらって入居者募集が始まります。その際には登記簿謄本や身分証、物件のカギや印鑑などを用意しておきましょう。
③借り手に提示する条件を決める
②と並行して不動産会社に相談をしながら、家賃や敷金・礼金の有無、更新料や加入保険について検討し、これを決めておきます。
相続をしたもののそのままになってしまっている空家などはございませんでしょうか?
空家を放置しておいては管理する手間や費用が増える一方でいいことはありません。
空家でお困りのことがございましたら是非当社へお声がけ下さい。